言わずと知れた司馬遷の『史記』ですが、私は徳間文庫版を愛用しています。

それは正義を貫く代償として深い苦しみを背負った司馬遷だからこそ活写できた古代東アジアの時代背景や登場人物の活躍と葛藤、またそれらが束となった国々の勃興が現代に生きる私たちにとっても多くの示唆を与えてくれることは言うに及ばず、コンパクトな文庫サイズであるにもかかわらず、原文、読み下し文、訳文が１巻毎に収まっていることによって寄稿の際の調べ物や出典の確認作業等も効率的に行える気軽さにあります。

また最終巻の第８巻は小事典となっており、各々の本紀や列伝が要約され、故事成語の出典もまとめられているので、講演や演説、また従業員等の前でお話しをされる立場の方は必携の書籍です。