さとしんさん

コロナ禍で自粛生活が長引いたこの年は、本を読む機会に恵まれました。各賞を受賞し話題になっている本が平積みにされている中、印象的な装画表紙の本作を手に取りました。  第二次世界大戦下、ドイツ軍の急襲により母を含め村人全員が惨殺され、救援に来た女性兵士の「戦いたいか!死にたいか!」という問いに「殺す!」と答える主人公。村一番の狩人セラフィマの復讐劇が始まります。  女性だけの狙撃部隊に配属された主人公。厳しい訓練の中、怒りと悲しみ、また同じ様な境遇にある訓練兵たちとの友情が彼女を強くします。成長していく姿は読んでいて痛快です。  また戦場では訓練とは違う臨場感が繊細に描写され、差し迫る緊張や激戦の迫力に自分自身が戦場に放たれたかのように没頭します。熱い復讐心と最前線でのクールな主人公、戦線を果て変化していく彼女の心境が物語の結末に繋がっていきます。  本作は反戦作品でも成り上がり物語でもありません。正義、復讐、愛、敵とは、答えのない問いに向き合う1冊になりました。  主人公は問う、「自分は何のためにここへ来たか、何のために戦うか、答えろ。同志少女よ、敵を撃て」。       ps.次作の「歌われなかった海賊へ」もとても面白かったです!

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